大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和60(さ)4 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

本件公訴を棄却する。

理 由

記録によれば、昭和六〇年一月三一日小田原簡易裁判所は、同月三〇日付けの被

告人に対する道路交通法違反被告事件の公訴提起に基づき、「被告人は、昭和五九

年一一月二八日午後七時四〇分ころ、道路標識により、その最高速度が四〇キロメ

ートル毎時と指定されている静岡県伊東市ab丁目c番d号付近道路において、右

最高速度を二一キロメートルこえる六一キロメートル毎時の速度で軽四輪貨物自動

車を運転して進行したものである。」旨の事実を認定し、道路交通法二二条一項、

四条一項、一一八条一項二号、同法施行令一条の二、刑法一八条、罰金等臨時措置

法二条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を罰金一万三〇〇〇円に処する。こ

れを完納することができないときは金二〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労

役場に留置する。ただし端数を生じたときはこれを一日とする。第一項の金額を仮

に納付することを命ずる。」との略式命令を発付し、この略式命令は、正式裁判請

求期間の経過により、昭和六〇年二月二四日確定したこと、被告人の右速度違反の

行為は、道路交通法一二五条一項にいう「反則行為」に該当するが、同記録中の交

通事故原票には、被告人は過去一年以内の同条二項二号所定の行政処分として、昭

和五九年六月四日九〇日間の免許の効力停止処分を受けたもので、このことを免許

証によつて確認した旨の記載があり、原裁判記録中にはこれに反する資料がなかつ

たことが認められる。

しかしながら、当審の事実取調の結果によれば、被告人は同年六月四日九〇日間

の免許の効力停止処分を受けたものであるが、同処分は、同法一〇三条二項三号に

基づく処分であつたことが認められ、被告人には同法一二五条二項各号に掲げる事

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由は存せず、被告人は同法第九章にいう「反則者」に該当することが明らかである。

したがつて、被告人に対しては、同法一三〇条、一二七条一項、一二八条一項によ

り、静岡県警察本部長が反則金の納付を通告し、かつ、所定の納付期間が経過した

後でなければ公訴を提起することができないのであるから、公訴提起を受けた小田

原簡易裁判所としては、刑訴法四六三条一項に従い、事件を通常の手続に移したう

え、同法三三八条四号により公訴棄却の判決をすべきであつたにもかかわらず、右

公訴事実につき有罪を認定して略式命令を発付したものであつて、右略式命令は法

令に違反していることが明らかである。

よつて、本件非常上告は理由があり、しかも原略式命令は被告人のため不利益で

あるから、刑訴法四五八条一号但書により、右略式命令を破棄し、同法三三八条四

号により本件公訴を棄却することとし、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判

決する。

検察官河上和雄 公判出席

昭和六一年五月二七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 坂 上 壽 夫

裁判官 伊 藤 正 己

裁判官 安 岡 滿 彦

裁判官 長 島 敦

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